この本を読んだきっかけ
久しぶりに本屋で手に取った一冊。
本の表紙を見て即購入したいわゆるジャケ買いでした。
一人旅やヒッチハイクをしていたこともあり、路上生活にも少し興味があった。
進んで路上生活をしたいということではないが、いつ自分がそのような状況になるかわからない世の中。
どのような世界が広がっているのか事前に知っておきたいという思いもあったのかもしれない。
食には困らないホームレス生活
この本で印象的だったのは、登場するホームレスのほとんどが食には困っていなかったということ。
舞台が東京だったので地方はわからないが、至る所で炊き出しや弁当の配布がほぼ毎日実施されている。
1日に7ヶ所の炊き出しをめぐる炊き出しツアーができるほどらしい。
本書にもあったが、昔は「ホームレス=乞食」という印象だったが、最近では「ホームレス=家がない人」という認識に変わりつつあるとのこと。
「日本では食いっぱぐれてもなかなか死ぬことはない」と聞いたことがあったが本当にそうなんだと感じた。
それは日本の治安の良さや社会保障が充実しているからだろう。
暗い話ばかりの日本だが、他の国に比べればやはり世界トップクラスの経済大国ということだ。
結果的に増えたお金
筆者がホームレス生活を始めるにあたって、所持金は1万円弱。
不思議なことに2ヶ月の生活を終えてみれば最終的にお金は増えていたそう。
最初は食の不安から食べ物を買っていたが、炊き出しが頻繁にあることからすぐに買わなくなった。
また、ホームレス向けに仕事の斡旋があったり、転売のためにポケモンカードの買い付けを頼まれたり、炊き出しをしているキリスト系団体からは教会に来てくれたらお小遣いをもらえることもあったり。
お金をもらえる機会は意外と多いらしいので稼ごうと思えば稼げるとのこと。
年金や生活保護をもらいながら仕事をしているホームレスもいるらしく、多い人は月収30万円ほどもらっていそうだとか。
そういう話を聞くと、ホームレスになってもなんとか生きていけるんだなと感じた。
ホームレスの中でも生まれる格差
しかし、ホームレス全員がそのような状況にあるわけではない。
炊き出しや仕事の話を全然知らないホームレスもいる。
そのような状況に陥ってしまうのは、人との関わりを避けて情報が入ってこない、いわゆる情弱になってしまうことが原因とのこと。
都市部ではなく河川敷で暮らし、日中はほとんどテントの中で生活している。
役所などに行けばいろいろな情報を教えてもらえたり、スマホでも情報を検索することもできるが、人目が気になって人と関わることを避けてしまう。
おそらく真面目な人こそ、そのような状況に陥りいやすいのだろう。
どのような状況でも人とのつながりや情報は大切だなと感じた。